毎日の暮らしの中で、日常の生活音 とは異なる音が聞こえたことがある人は多いのではないでしょうか?いわゆる耳鳴りの症状は、耳の病気の中でもよくみられる症状のひとつです。
耳鳴り自体は病気ではなく症状ですが、その原因にはいくつかあり、重大な病気が隠れていることもあります。この記事では、耳鳴りの定義や原因、治療法について4回にわたり紹介します。 耳鳴りの症状に悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。
【第1回】耳鳴りの定義
本来聞こえるはずのない音が耳の中で聞こえる症状を、「耳鳴り」といいます。今回は、耳鳴りの定義や特徴について説明していきます。
耳鳴りは周囲に明らかな音源がないにもかかわらず、音を感じる状態をいいます。耳鳴りで聞こえる音は、「キーン」「ピーン」という金属音や電子音に似た高音や、「ブンブン」「ボー」「ゴー」「ジー」という低い音などさまざまなものがあります。
なお、殆ど音のない状態の部屋にいるときに「シーン」という音が聞こえるケースもありますが、それは誰でも体感されるもので特に異常な症状ではありません。
耳鳴りは世界の人口の約15~20%の人に症状が現れるとされており、健康な人にもみられる症状のひとつです。ただし、65歳以上では聴力の低下とともに耳鳴りが増えます。65歳以上の30%以上は耳鳴りの症状で苦痛を感じているといわれています。
耳鳴りが 慢性的に続く場合、耳や脳の病気が潜んでいるケースもあります。また、耳鳴りの症状が続くことで集中力が低下したり、眠れなくなるなど日常生活に支障が現れることも少なくありません。耳鳴りの症状が重くなると、不安が大きくなり 、うつなど心の病になることもあります。
耳鳴りが 持続する場合は、医療機関の耳鼻咽喉科専門医を受診して、検査・治療を受けることが大切です。
■耳鳴りの種類
ひと言で耳鳴りといっても、いくつかの種類に分類されます。具体的には、耳鳴りは大きく以下の2種類に分けられます。
1)自覚的耳鳴(じめい)
患者さん本人だけが音を感じる耳鳴りです。通常、耳鳴りというと自覚的耳鳴のことを指します。自覚的耳鳴では、患者さんの体内に音 源はありません。
自覚的耳鳴の多くは 、内耳の蝸牛(鼓膜などから伝わった音の振動を電気信号に変える器官)や脳の中にある聴覚中枢の感覚器や神経の障害により引き起こされることがあります。
2)他覚的耳鳴
患者さんの体内に音源がある耳鳴りのことをいいます。患者さん本人だけでなく、第三者も音を聞き取ることができます。他覚的耳鳴は、まれな耳鳴りで、主なものは以下の2種類があります。
耳周囲の血流の異常が原因によって雑音が聞こえます。「ドクンドクン」「ザーザー」など脈拍に連動した雑音が特徴です。
耳周囲の筋肉の収縮リズムの異変が原因で雑音が聞こえます。具体的には「カチカチ」というような硬い機械的なクリック音が聞こえるのが特徴です。